一緒に育った弟子の寿限無(桐谷健太)は、実は親父の隠し子で兄弟!ハワイアンセンターへの「家族旅行」も実は昔の女たちを訪ねる旅w なんだ色ボケ人間国宝寿三郎(西田敏行)ったら元気じゃん、と呆れている間にも、認知症は無情にも進んでいく。女に自らあげていた能の小道具を「盗まれた」と言い出すなんて。
例によって、深刻な話を当事者は真面目に話しているのにどこか可笑しいし、それで笑っているとまたズドンと落ち込まされるでしょう?毎回感情が忙しくて、とても面白いのに疲れていると見られないドラマでしたよ…。
実父寿一(長瀬智也)と養父2人分の「僕のお父さん」作文を書く息子も、その発達障害も、それだけで別ドラマを構えてもいい様な話なのに贅沢にも「俺の家の話」の一コマ。
そして最終回直前になってもヘルパーさくら(戸田恵梨香)と寿一の仲ははっきりしないし、老人ホームのジュジュもとい寿三郎にも言えないし。プロレスと能の二足の草鞋は片がつかないし。どうなるんじゃこりゃ。
……とここで、寿一の逆縁はネタバレで知ってしまってから最終回見たんですよー。なのに、1番危なそうな試合はサラッと過ぎていたじゃないですか。てことは、道成寺の鐘的な危険が能の舞台で?それとも突然の交通事故?? なんて思ってたら。それどころでは。
実は、年末の引退試合の事故で寿一は亡くなっていたのに。葬式も済んでいるのに。認知症の進んだジュジュはそれを忘れるどころか、目の前に寿一がいる様に会話し続けていたというのですよ。そして、同じく納得できずにいる亡霊寿一の側から私たちは、能の稽古を続け、朝ごはん食べて親父さんと語らう様子をずっと見せられていたんだと……もう家族地獄やんorz
更に辛いし凄いのは、『寿一は死んだ』と言われてもまだ、父寿三郎には寿一が見え続け語り合い続けていることでしたね。
演目『隅田川』
生き別れている間に我が子は死んだと知らされ、認められない母の狂乱を演じる舞台の上で。謡いを務めながら寿三郎もまた、鮮明な寿一の亡霊、いや妄想と言葉を交わし、過ぎし日を悔い、今まで一度も言えなかった言葉をついに告げてしまいます。褒め言葉を。
もう涙、涙なんですよ。
でもその合間にも絶え間なく襲いかかるおふざけ💦 挙動不審なジュジュに「寿一さんが見えているのかも」と、しんみりするさくらを制する舞(江口のりこ)
「セックスシンスじゃあるまいし!」
逆、逆💦
親父さんの『俺のせいだ』も、小さなコトなんですよ…。ラッキーが続きすぎた日の最後に、そんなの食べたら死ぬ!と譲った大きな数の子。あれを俺が食べていれば…って、関係ないよ!事故と数の子は!でも何か、何かと因果を探してしまう気持ちも分かって、ねえ。
親父さんのために葬儀屋と打ち合わせていたまんまセットされた、寿一の葬式。戒名も長州力(本人)さんが考案済み(ハワイアンセンターで、一緒に舞台に立った潤沢からも花が!)
ドラマ初回、久々の対面が危篤の父で取り乱していた寿一が、当時冷静だった弟妹よりも更に平然と葬式の準備をする様になっていたのにね。と思えば、おやおや、たった一年しか経ってないのね?
舞や踊介(永山絢斗)、寿限無にしてみたら、本当に嵐の様に現れて全てを引っ掻き回して去っていったブリザードだったんだ、寿一は。でもそのおかげで、みんな言いたいこと言って少しスッキリして新しい居場所を見つけたんですね。
ああ、また最初から見直したいぞ「俺の家の話」!!素晴らしかったです。
エピローグ、寿一の息子が能を続けていつかは宗家を継ぐのはそれで良し。その前に寿限無が宗家も良し。分家(ムロツヨシ)に担がれた踊介が継いじゃう線はありえないから〜。でもだからって、さくらさんが踊介と結婚したのだけは、ちょうど良さがちょっと分からない💦 寿一と一緒に、納得いかないぞ!でも、愛や恋でなく、寿一やジュジュと縁を保っておくためと思うと最良の選択なのかも。金はあるし!
そんな中、本筋に全く関係ない寿一の元嫁(平岩紙)の一言、再婚した旦那が一年育休取って私が毎日働いて「なんで旦那が褒められるねん」にもとても惹かれたのでいつかそんなジェンダー問題も書いてくださいクドカン様。