こんな悲しい気持ちで「古畑任三郎」を見る日が来ようとは…。
そして15年前のTVは3夜連続古畑任三郎スペシャルなんてお祭りが出来たんだと思うと隔世の感です。犯人役が藤原竜也、イチロー(当時の弊レビューこちら) ときて、最後になる松嶋菜々子が今作。
松嶋菜々子、綺麗!今もこの15年前と遜色ないのですから女優さんて流石です。
双子の姉妹を一人二役。地味で引きこもりで僻みがちな姉のノーメイク時、こんな松嶋菜々子初めて見たけどイイね!と引き込まれました。 そう、どうやら私これ初見??今更すぎてびっくりなんですけど!
売れっ子脚本家加賀美京は、双子姉妹もみじとかえで(松嶋菜々子)が共有するペンネーム。
実は古畑任三郎(田村正和)も、加賀美脚本の刑事ドラマ「鬼刑事ブルガリ三四郎」のアドバイザをしていて打ち上げに呼ばれ、構成&渉外担当の華やかなかえでに密着ダンスに誘われてデレデレ。しかしその間も実作担当の姉もみじは徹夜で脚本を仕上げていたのでした。
翌日、古畑と待ち合わせている かえでに『入れ替わり』の悪戯を持ちかけた もみじは、自分に扮したかえでを殺し、妹のふりで古畑の前に現れるのですが……。
例によって、会って2秒。ブルガリ三四郎コスの真っ黄色コートをスルーした時点で実はもう疑われてましたよね。新ドラマの制作発表でも『恒例のアレ』を求められて立ち往生。そんな簡単に入れ替われる訳は無かったのでした。
たとえ何日か切り抜けたとしても、「その人」になるって、らしく振る舞うだけじゃ無い。それぞれの相手と築いてきた関係や距離感が問題でしょうにね。
それでも、独り立ちしたかった。出来ると思った。それ自体は悪いことじゃないし。「好きにすれば」と口では認めつつ、服や化粧にケチをつけ、打ち合わせや宣伝を姉には無理無理と言い募った妹だって、1人は不安だったんでしょうよ。そこで『お姉ちゃんが居なきゃ困る』と言えていたら。殺してしまう前に、2人でもう少し、話し合えていたら良かったのにねえ。
しかし爆竹は鳴り、遺体は発見されて。
今泉くん(西村まさ彦)臨場! 若い!髪、黒い!おでこツヤツヤ!
共同ペンネームと知らず、今死んでた加賀美京子を呼ぶ西園寺くん(石井正則)に動揺し、現れた かえで(を装うもみじ)に怯える様子がキュートです☆
今泉くんは「白い巨塔」推しw 「鬼刑事ブルガリ三四郎」ごときは一晩で書けるとクサし、脇役ダメ刑事鶴田もバカにしてたのに、古畑さん監修→自分がモデル?と気づいて、文句を言いに来るのもラブリー☆ その時のドア音で、人形が落ちてヒントに。ほら役に立ってるんですよ(銃声でなくとも人形は動くとも示しましたけど)
あ、マンションの裏口目指してダッシュもありました!
「アイツは怪しい!」
と勘でもみじを疑う今泉、ロジカルに彼女には不可能だと主張する西園寺。その横でもの思う古畑さんは既に、どう入れ替わりを認めさせるかを考えていたのかも。
(トリックの穴をつつくと、大概の犯人は必死で抗弁してきますよね。今回も、姉は自殺だと言い張る犯人さんでしたが。あのかえでさんが殺したのなら、自説はともかく相手の他殺説を立て&侵入者がいたなんて怖い…としなだれかかるぐらいはしそうです)
締めはしっとりと、ラストダンスで。