柴咲コウが、中身は10歳の35歳を熱演!
……って、重たい予想しかできずに後回しにしていたのですが、見応えはありますねえ。最終回はどうするつもりなのでしょう。

 10歳のとある日、お豆腐を買いに自転車で出かけた望美は、ブレーキの故障で事故をおこして以後昏睡状態に。 25年後突然目覚めて、中身は変わらない10歳のまま「大人になれ」と言われてしまう望美(柴咲コウ)の悲劇と成長の軌跡を描きます。

 母親(鈴木保奈美)の看護が実に献身的。 25年感も「いつか」の為にマッサージを欠かさなかったおかげで、目覚めた後ちょっとの訓練ですぐ歩けるようになったほど。普通は短くするだろう髪も伸ばしたまま整えくれていたおかげで、望美が観た『35歳の自分』は、老けてはいても寝癖もつかずキラッキラ美しいストレートヘアだったんですよ!
 でもそれだけに妹愛美(橋本愛)は事故後、母は姉しか見ないと不満いっぱいで育った様子。父(田中哲司)ともとっくに離婚済み。……この辺、13年誘拐されていたNHKドラマ「サーティーン/13 誘拐事件ファイル」を彷彿。突然一人が欠けると、やはり家族が歪むのでしょうね。そして、戻った子に負担をかけまいと『昔と同じふりで過ごして』と頼むのも同じなのですが、父の素人演技は穴だらけです。 しかも母、何を思ったか退院後帰宅初日のパーティに、望美の初恋のカレ結人君(坂口健太郎)を召喚! 小学校当時の望美との思い出を語り、「教師をしている」とキラキラ語っていた結人くん(35)でしたが、実際は夢破れ退職、結婚式に嘘の友人役で出席する様な代行屋なんですよ……。だから呼びやすかったのかもですが(^^:::) 
いきなりキレて事実を告げるついでに 「21世紀には世界が平和になる☆」 とその頃の望美が語っていた子供らしい夢まで全否定、目覚めなきゃ良かったんだ!とまで怒鳴り散らして泣かせてしまいます。 酷いよー大人げないよー。  

 その後の母との暮らしは勉強ばかり、突然の出血(月経)に「死ぬ」と驚き、買い物も好みの服は子供っぽいと買ってもらえない、お子様ランチも頼めない。中学も高校もすっ飛ばしてただ突然
「大人になって」
と言われっぱなしの望美が、自分ばかり不幸だと嘆くのはもっともで可哀想です。
しかし母は「豆腐を買い忘れた」父は「自転車のブレーキを直してなかった」妹は「自分がおつかいに行かなかった」から、それぞれ事故は自分のせいだと悔やんできたと知って、望美も思うところあり、改めて家族を集めての豆腐パーティ。
遠回りの坂道で、わざとスピードを出した自分が悪かったのだと、皆に謝って2話が終了。そこからは前を向いて生きてくれそうでホッとしました。

 きっかけになったのは結人くん。
プチ同窓会、昔の大親友2人(お母さん、退院パーティに呼ぶのは普通こっちでしょ!)と会うも、2人とも「夢」は叶えておらず、望美にとっては失われた青春の学生時代を「思い出」として突きつけられるばかりでした。おまけに、あいつらSNSでは哀れんでるぞ、とまた毒を垂れ流す結人なんですけどね。 それでも、自分にとっては望美が目を覚ましてくれて良かったのだ、と。まずは子供っぽくていいから好きな服で好きに暮らして、中学生になって高校生になって、それから大人になればいいと言ってくれて。無い袖を振って望美好みの服や靴を買い直してくれるのでした……。さすがに泣かせたのが後ろめたかった様です(^^;;;;)
 そうやって段階を追って育つコトって、ずっと目覚めていた人にも大事そうです。結人を雇った愛美は、元カレのデート先にわざわざ現れて恋人だと紹介するストーカー状態。それで後悔したカレが戻ってくる……はずがないのに。必要以上に恋人に執着し、重いと嫌がられてきた様ですよ。家庭で愛され足らず、飢えたままなのでしょう。
そんな愛美も、望美と一緒にまた成長していくんでしょうか。25年の介護で笑顔を忘れてしまった母も。再婚相手(富田靖子)の連れ子(流星涼)の家庭内暴力に怯える父も、変われるのかな。結人もね。
 気取らない坂口健太郎が新鮮で、いつもの生真面目くんより新で魅力的です。