出ました、雲外蒼天!旭日昇天!

原作ファンでドキドキ展開を待つ楽しみはないものの、それを補って余りある映像の納得感! もうずっと
「いけねえ、こいつぁいけねえよぉ」
とつる屋の旦那みたいに騒ぎながら観ておりました。

2話、上方との出汁の違いを悟り「合わせ出汁」を作り出す。それを生かした「とろとろ茶碗蒸し」はまた大人気に。
3話、江戸料理番付に載り、登龍楼に茶碗蒸しを真似をされ、めげずに「三つ葉づくし」を考案するも、なんと真似の先出しをされ。
4話、密偵は下働きのふきちゃんと分かるも、責めるべきは登龍楼の主、采女宗馬(松尾スズキ)しかしつる屋に火を放たれ……。

このあらすじの間にも、水害で孤児になった澪が拾われた件やら、色々。30分とは思えない濃さで進行、大満足です。

特に好きなのは2話での、ご寮さんの簪大活躍。
サンゴの見事な一つ玉でひと財産、亡き旦那さんに贈られたといつもご寮さんの御髪を飾る簪でしたが、江戸一番の味を知りなさいと登龍楼へと向かわせる日には、澪の髪に「お守り」と挿してくれるんです。粗末な身なりで、汁物をひと椀だけ……という澪を訝しむ登龍楼の下女も簪に目を留め、それなりの部屋に通してくれます。そして味わった別格のカツオ出汁を元に苦労する澪のために、どん、と材料のカツオ節と昆布を仕入れて来たご寮さんの頭にはもう簪は無くて……。
それだけ高価なものを、澪のためなら手放せる。澪も母のように慕って、茶碗蒸しの具にはご寮さんの身体にいいものばかり。もう雇い主と使用人を超えた家族のような絆が自然に描かれているじゃないですか。
「料理は、料理人の器量次第」
このご寮さんの決め台詞が、常に澪の道をまっとうに定めてくれます。

ふらっと夜に訪れる浪人小松原とは、「下がり眉」と馬鹿にされながらも何か心が通い
「俺は好きだぞ」
と褒めているのが料理のことと知りつつも、どぎまぎ。忘れ物の手ぬぐいをそっと胸に抱いたりする澪。対しての小松原も縁談を迫る妹(佐藤めぐみ)に女性の好みをきかれ
「素朴で、誰からも好かれ求められる」
とちょうど食べていた豆のことのように語りますが……それ澪のことですよねえ??きゃー! 
源斉先生だって、医食同源の蘊蓄で献立づくりにヒントをくれるし、ご寮さん診てくれ、つる屋にもせっせと通ってくれていますけど、今のところただのお医者さんですねえ。

そうそう又次。吉原の料理人で、とある花魁に故郷の味をと、夜中に現れては上方出身と噂の澪の料理をお持ち帰り。準備をしながら澪が語る昔話を花魁も聞いたことでしょう。
つけ火でつる屋が焼け落ち、気落ちする澪の元に現れ弁当を所望した又次は、簡単な蕗ご飯にぎりの代金に小判を差し出します。何か作る気概が残っているなら渡して、という花魁の心意気。そして添えられた『雲外蒼天』の文字! そう、花魁あさひ太夫こそ、思い出の幼馴染野江ちゃんだったのです!じゃーん!
ちなみに当時占い師が吉相『旭日昇天』だと騒いだのが野江で、澪の『雲外蒼天』は苦労に負けるな、と励まされる程の波乱万丈の相。これからまだまだ降りかかる災難に立ち向かう澪を、応援しつづける気は満々なのですが……。

4話の最後にやっと野江ちゃんの顔が出て、すみません貧相でびっくり。

これが当世人気の美貌の花魁……成海璃子には申し訳ないけどしっくりこなくて呆然、残念すぎます。見とれるほど美しくあって欲しかったのにorz 源斉先生ラブのお嬢さん美緒役で出てきて澪をライバル視「私の方がきれいなのに!」と騒いでくれるならぴったりなんですけど……(全8話、どこまで描くのやら。美緒ちゃんは出てこないのかも)