「広沢を殺したのは僕だった」
ゼミ仲間でただ一人酒を飲まず、でも免許も持たず、戻らぬ広沢を探しに出ても雪の中行き倒れて何一つ見聞きせず。これでもか、というほど徹底的に非がなかった主人公深瀬。でも知らずに、むしろ良かれと、してはいけないことをやらかしていたのでした。
警察に出頭した美穂子。
「もう会いたくありません」
と拒まれた深瀬でしたが、仲間の後押しでなんとか再会、話し合ううち互いに笑顔が戻ります。美穂子の字で新しい行が追加されていく広沢ノート。
「広沢由樹はカモミールティーが苦手」
「広沢由樹は蕎麦が食べられない」
……久しぶりにキャッキャうふふだった場面がここから、雲行きが怪しくなっていきます。
みんなが名産の蕎麦食ってる時に、別行動でカツカレー食べてた広沢。
我儘と陰口もあったけど、そんなフリーダムで気ままなところも眩しかった……という深瀬視点に惑わされていましたが、なんと理由は蕎麦アレルギー!
なんで内緒にしちゃったんでしょう……。公言したら、皆が名産を食べづらくなると思ったのかも、とは深瀬の推測。でもこれから何日か共に自炊するというのに危険な。そしてせめて、深瀬がアルコールアレルギーを力説した時に自分のことにもちらっと触れていたらこんなことにならなかったでしょうに。
楽しかったゼミ旅行ドライブ、売店で試食して買い物。何度も何度も繰り替えされた場面。
「俺が行くよ」
口論を遮るように、立ち上がった広沢のためにコーヒーをいれて持たせた深瀬。これもお馴染みの場面。いつもの広沢の好み通りに、蜂蜜をいれたコーヒー。ただし売店で買ったばかりのその蜂蜜は……。美穂子と出会ったいつもの店で、今日出された蜂蜜と同じ変わった風味で……
蕎麦の蜂蜜だった。
もう、美穂子が蕎麦アレルギーを言い出した時に変な声出ましたよ(^^;;;) 蕎麦蜂蜜、見たことあります。ヒントは全部一話から投げ出してあったのに、繋がらないものですねえ。今にして思えば深瀬のあまりに守られた立ち位置は怪しすぎですが、免許なしも行倒れも、鈍臭いあの深瀬ならと思わされてしまったキャラ設定の巧みさに唸りました。
誰が犯人なら一番驚くかじゃなくて、誰が犯人なら一番イヤかが肝なのが湊かなえだとはわかってたのに! 美穂子ならイヤだな、広沢生きてたらイヤだなあ、じゃないですよ、何がイヤって、大好きな人を自分で知らぬ間に殺していたら一番イヤですよぉぉぉぉぉorz
これが更に勘違い、とひっくり返る余地ってまだあるんでしょうか(^^;;;)
他にも、家の車で学友が事故ったと聞いた村井父が『火をつけろ』と即答したとか、記者を刺した男は秘書に金をもらってたとか、代議士って怖いねえ~な展開も多々あったのですが、ラストの衝撃に全部持っていかれました。予告では実家の映像、深瀬が謝罪に行くのでしょうか。辛いですね。
あの性根の腐ったサッカー部部長にも、ぎっちり改心してもらいたいものですが、さて。