確かに真犯人は意外でしたけれど……誰?ってなったわw いいのそれ。

タワーマンションを舞台にハイソないじめを描いてワイドショーで話題になった今作。監視、盗撮、誘拐、と誰でも被害者になりえる都会の死角を描くのかと思わせておいて、佐々木弓子の狙いは初めからヒロイン家族、だってヒロイン旦那と因縁があったからと分かった時点でがっかり。興味半減でした。なのに、体操教室コーチがヒロインと同郷だった方は偶然だなんてw
火元にいる息子を救う前に足を止めて長々と決意表明するヒロイン。歩きながらでも言えるよねそれ。逮捕後に道端で人生を語り始める犯人、ヒロインとの質疑応答を止めない警察。うーんあれこれ雑です。

主人は楽しんでいるので横で黙って見ていましたが、終始子育ての責任が母親にしかないように語られることも不快でした。
母からの虐待のせいでハーメルン事件を!って、その母に自分を任せて妻子を捨てた父は悪くないんかい。ヒロインの家庭でも、父ココリコ田中が前妻は死んだと嘘をついて再婚してたのに、家出だ浮気だ過去の真相だで嘘はうやむやになってしまっていて腹がたつったら。
「俺たちがしてしまったこと」
とか大層に告白した過去も、大変だったのは過剰防衛で殺してしまった弓子だけで、夫は言われるままに離婚してやっただけでしたよ。本当は弓子が全部罪をかぶり、殺したのは夫だった線もあるかもしれない。うん(会社の金でも嘘ついてることを思うと確率倍増w)

『貴方が育つはずだったこの街で、人生をやり直すのよ』
と、和樹くんを当時の住宅に連れていく弓子(借り直したのか、若夫婦の持ち家を離婚時にもらったのか?)
いやいやいや、殺人が、それもストーカーが美人妻に返り討ちにあうようなスキャンダラスな事件があった家に、生き残った息子が帰ってきたらご近所大騒ぎでしょ! 15,6年前のことなんてご近所のおばちゃんたちにはついこの間ですからね! 
『殺人犯の息子にするわけにいかない』
と自ら離婚を望んだ佐々木弓子なのに、そこで和樹くんと同居するつもりだったんでしょうか。それともなさぬ仲のヒロインと和樹くんの絆を強くするための、これも計略だったんでしょうか。

別れの時、薄々分かっているだろうに実母への伝言を弓子に託す和樹くん……。感動的でしたけどねえ。その前のキャンプの時が逆に、弓子と生家に旅行までいったのにまだ実母を知らない設定で話し続ける大人たちが不自然でしたよね。最後にこう盛り上げたかったなら、旅行から間髪あけずに別れに持ち込むか、もっと和樹くんからガンガンと<まだ知りません>発言をしていってもらわないと……。

それでも音楽は良かったですよねえ。
エンディングがかっこよくて毎回終わり頃は気持ちが盛り上がるし、中盤も仄暗い合唱BGM『るるるる~』がいいムードで。なのに、なんとそれも音楽療法の曲として物語に組み込まれていてびっくり斬新でした。弓子登場のテーマ曲だったのに、弓子もじゃあ療法を受けていて歌えてくれないと。

そうだ、最上階の高慢ちきママが旦那逮捕で権威失墜したのはいい気味でした。息子さらわれちまえーと前半何度も思った、その呪いも成就したしw 自分がバカだったとやっと気づいた、それでヒロインにもちゃんと謝ってくれてたらいいんですけどどうでしょうね。火事を起こしちゃったのはさすがに可哀想、全戸水浸しの賠償は保険きいたのでしょうか。

松嶋菜々子は美しかったです。