もうずいぶん前になってしまいましたが……行ってきました「『おはなしクラシック』実践セミナー」atカワイ梅田コンサートサロン。

音楽劇の台本が書き下ろされた「おはなしクラシック」(全3巻)の出版記念講演会で、実演ゲストに我らが西村雅彦氏。生演奏のピアノに合わせ、手の届く文字通りの目の前で西村氏の朗読が繰り返され熱く愛が語られるという、夢のような時間でした。ムハーッ
著者の新井鴎子氏は「題名のない音楽会」などの構成作家さん。選曲や曲順だけでも様々な思惑ががおありでしょうが、そこに物語や語りを入れテンポや間を考えることで、発表会や演奏会がもっと楽しく、感動がより深くなるひと工夫をご紹介いただきました。
華奢な美しい方でお若くみえるのに、なんと懐かしの深夜音楽ドラマ「マエストロ」の企画にも携わられていたとか。西村さんが主演し怪優登場と話題となったもので、それ以来のご縁なんですねえ。
お話が西村さんの「マエストロ」出演に触れたあたりでぶんぶんうなづいてしまいましたよw カワイのコンサートサロンを会場に、周囲はピアノなどの先生方ばかり40名弱、その中に潜り込んだ西村ファンは推定5、6人?演奏のテクニック等とはまた違うところで反応していたことでしょう。

舞台の怖さ楽しさ、様々なお仕事での失敗談など楽しくお話いただいた後、実際に3巻収録「不滅の恋人は誰だったのか? べートーヴェンと女たち」の台本に添ってピアノと朗読の実演が行われました。

耳慣れた「悲愴」や「月光」をBGMに、地の文と独白(べートーヴェン自身の手紙からの抜粋)部分とがはっきり調子を変えて語られます。恋人よ、と甘く語りかけるかと思えば、年代等の解説を語りかける爽やかな声、そして耳が聞こえなくなる苦悶の吐露。もう息をするのを忘れそうでしたよ(><) 
しかし講演の肝は演奏との調和でありまして、語りに音がかぶる時の音量調節はもちろんのこと、何小節目から語り始めると、例えば「月光」の高音部の繰り返しが台詞の間にちょうど入って効果的だとか。 早いテンポの途中に語りをかぶせるのと、ゆっくりとある程度まで聞かせてから語り始めるのはこう違うだとか、新井氏の合図に従って様々なケースが繰り返され、なるほど効果が違いますね……と納得しながらもやっぱり半分は西村氏の朗読に釘付けでした、すみませんw 
飛び入り体験もありまして、読み聞かせをされているという方が氏と代わって朗読されたり(お上手でした!)、ピアノが交代されたり。その辺で撮影可になったので思わず私も携帯を取り出したものの電源オフ済w 写しもせずにまたボーッと目の前の西村さんをみつめて時間が過ぎていったのでした……orz

終演後はサイン会☆ 購入した「おはなしクラシック」にお二人にサインしていただいて、ここでやっとお写真も。また、サロン入り口のグランドピアノの蓋(?)にも、今まで講演された方のサインがぎっしりの中スペースをみつけて書かれていましたよ。


作中の語り通りに、ベートーヴェンといえば音楽室の肖像画と耳のこと、テストに出る代表作いくつか程度のことしか知りませんでしたので図書館を覗いてみました。惹かれて借りてみた本によれば、最近オークションでベートーヴェンの遺髪が落札され、分析から鉛中毒だったことが判明したそうです。遺髪を切り取った弟子の経歴やその子孫がどう暮らし、果てはヒットラーの魔手からどう逃れたらしいのか、などなど。あいにく不滅の恋人には全く触れられていない本でしたがw 興味深かったです。そんなトリビア同様に、私には演出して役立てる機会のないBGMと朗読のマリアージュ。子供に英語劇を教えている姉に熱く語ってみましたが通じたでしょうか(^^;;;)