遠野リサ名義では、親や知人が読んでくれないというゴーストライターの不満が新鮮w
ゴーストラーターという裏稼業、どう手を染めてしまうのかと思ったら始まりは案外となし崩しでしたよね。
まずは共同制作のプロット、だんだんと『文章も書いてごらんなさい』と、脅迫されるでもなく、尊敬する遠野リサ先生に指導してもらってる、してあげている形から入ってしまって文句をいう暇がない、的な。
一応は、最初の持ち込み原稿を出版してあげると餌。
でもその一冊を由樹の側から条件に言いだしたと嘘をつくことで、遠野リサの気持ちを『申し訳ない』から『利用されているのはこちら』に変えてしまったんだから、名編集者のお手並み恐るべし。
そして時は経ち、平積みで何冊も並ぶ遠野リサ本が全て水川あさみ著になってしまってからも、遠野リサ側はまだまだ優位に立っているつもり&『作家の本能』などと、とにかく自分の書いたものが広く読まれて受けてれば嬉しかろう?と余裕をかましていたわけですが……。
まず息子は気づいていましたよ、本人が書いてない、と。
これ、普段から母に反抗的で『遠野リサ』呼びで馬鹿にし、他人行儀を装っていたのに、実は一番の読者だったってことじゃないですか。それだけで泣けてきましたよ。
何で気づいたんでしょう。感覚的なもの?
もしや、大事な思い出と息子が思っていたことを踏みにじる描写があったのだとしたら。遠野リサ憎い、でなく、別の人が書いたのかも、とまず思う息子の気持ちもまた尊いのに、さすがにそこを認めるわけにはいかない遠野リサです。
更に大事なゴースト由樹の気持ちは。
プロットの元になった大事な思い出話を、トークショーで簡単に吹聴されてムカつくw そりゃ嫌ですよねえ、でもそこで作家先生が『友達の話に感動して~』とぬるく語るわけにもいかないじゃないですか。文章と一緒に思い出も魂も売ったんだと、やっと気づいたのかって場面でしたよね。
そして訪れる元婚約者。
全国でたった200冊しか売れなかった、同人誌以下の小説を手に感動したよ、サインくれって言ってくれるんですよ。
「お前が書いたってだけで感動だよー」
って、読んでなさそうですけどw 身内なんてそんなものでしょう、うん。
でもゴーストライターをしているかぎり、遠野リサ名義でいくら売れても親も元彼も友達も親身に読んではくれないと思い知る水川あさみ。……全国の読者を騙してるのなんのと並べる大きな数字より、この身内への裏切りの方がリアルに辛そうなあたり、冒頭にも書きましたが新鮮でしたし、遠野リサ側の親子関係とも対比できて奥行きが出ましたよね。
大嫌いな母にだんだん似てくる自分……ああああ
(でも娘を人生の助手席に乗せてたリサ母と違って、息子は勝手にのらくらしてるだけって感じですよね。何かしたいことあるのやら。こっそり小説書いてたりしないかな)
失踪騒ぎ。
すでに、彼女がいないと何もできなくなっている遠野リサ大先生。でも締め切りが守れない責任は自分に来るんですよー、あーあ。
代わりはいくらでもいる、と脅した過去を返上して土下座までする羽目になりますが、自業自得だからかわいそうじゃあないよねえ。そうまでしてでも自分が書いたものじゃダメ、つまんないって、判定能力は落ちてないが故の悲劇です。
ところで、幽霊社員から幽霊作家wにクラスチェンジし、代替原稿要員にされている冴えない新人作家さん。菜々緒に惚れちゃってる様で、君のためだけに書いた短編小説をプレゼントw
この2人の場面がコミックリリーフで毎回楽しみですよ。漁夫の利で本当にブレイクしちゃったらいいよね!