ああ良かった、やっと真帆さんと結ばれて。


でも祝言で終わるのではなく、生涯一番頭だった善次郎さん(塩見三省)が

「ほんに安うていい買い物だした」

と松吉を褒める言葉で締めてこその「銀二貫」。大満足でした。


思わずガイドブックも買い、寒天みつ豆やところてんを食しながら何度も観返してしまいます。これまでの感想で書き漏らしましたが、毎回鳥や蝉の声、風鈴や寺の鐘の音といった、町の自然の音の取り入れ方が絶妙でしたよね。

最終回でいったら、松吉が火傷さえいとおしいと言う場面。
音楽が消えて、真帆の襟巻きに松吉が手を伸ばすところで鳥の羽ばたきが聞こえます。静かに張りつめた空気を表すと同時に、真帆を解き放とうという松吉の決意をうながす様でした。


それにしても糸寒天が出来た回、よーしこれでと思った視聴者は多い筈。でもアンポンタン松吉は自分から何もしないんだからー。

「もう会わない」

というおてつとの約束を頑に守り続けていて歯がゆいったらありゃしません。おてつからは会いにきてるんですからもういいのにー(><)泣いて諦めたおサキちゃんが可哀想じゃないですか。


と、言ってる間に出る杭は打たれるわけで、糸寒天が売れ過ぎての営業妨害。新たな天草仕入れ先を探す半兵衛さんに銀二貫が渡ります。

更には父を手討ちにした仇の建部玄武(風間俊介)が現れて、鶴之輔の命の代わりの銀二貫もまた立派に役にたったことを知らされるわけですが…。


不正を働いたのは玄武の父だったとか今更打ち明けられても何が戻るわけでもなく。 


慟哭する玄武とのやりとりも胸を打ちましたよね。

不意に刀を取り上げられて育ちと違う百姓/商人にされ、喜ぶべき収穫/売り上げが心の底から嬉しくはない違和感、疎外感。

あの時、殺す側殺される側だった仇同士がこんなにも似た道をたどって居たなんて。またとない理解者になれる筈ながら、許せる筈もない憎い相手でもあり。

ついに刀を手にして斬りつけ……!!

鶴之輔はまだ確かに松吉の中にいて消えないのだと井川屋の面々も凍り付いたでしょうけれども。もちろん狙いは玄武から外されて、叩ききったのはその自分の中の鶴之輔だったのかも(リトル本田か!)

今からは商人として生きていくのだと宣言。そして妻子の元へと玄武を返してこその松吉ですよね。


そうこうする間にも

「へてから」「へてから」

と簡単に何年も経ち、梅吉もサキもそれぞれに子どもが増えてますよ!

おてつのお母さんが亡くなり、さあ今度こそ真帆に戻って松吉と一緒に…と誰もが思ったでしょうに、やっぱりそこでもサキに背中を押されないと会いにいかれないのか松吉(><)

それでもやっと祝言の話になり、暖簾もゆずられて万歳かとおもったら

『銀二貫を寄進してから』

になるとは……さすが(><)


これじゃあ更に何年待たされることやら、だったのですが。
なんと真帆の協力で寒天羊羹が完成……!!
 

寒天が縁で出会った真帆と松吉。火事での辛い別離があっても、だからこそ真帆は団子や餡を扱って生きてきて、いま晒し餡と砂糖を分けて寒天に加える提案が出来る。なんて巡り合わせでしょう。
そしてあああ、美味しそう。

何気なく食べているものが、こんな試行錯誤から生まれ誰かの人生を左右してきたのかもと思うと不思議ですねえ。



そして出来上がった新しい食べ物『練りようかん』を、菓子屋に持ち込む井川屋の旦さんと番頭さん。作り方を教えるから井川屋の寒天を使ってバンバン売ってくれーって、互いの領分は守って幸せ、商人の鏡です。


やはりNHK時代劇の名作「浪花の華~緒方洪庵事件帳~」といい、作品の出来にも増して、今住む大阪の物語だからこその愛着があります。こんな町大阪に住むことになった自分の人生の不思議も噛みしめてしまったりして。


ちなみに「銀二貫ガイドブック」にはレシピもついてます! 作中の食品を作る係の人は、手慣れた完成品を作るより、松吉がたくさん作る失敗作の方が加減がわからず大変だったそうですよw 確かにw

寒天作り今昔や天神様周辺の観光案内、もちろんスタッフキャストのインタビューもついて読み応えたっぷりです。

「ほんに安うていい買い物だした」 なんてねw