大竹しのぶ、独擅場。
娘が殺された現場を訪ねた。
今までずっと目を背けて来たことに立ち向かった、大事な局面とはいえ、右に曲がるだの大きなモクレンの木がだのと訥々と語りだしたところでは内心、回想映像でも挿入すればいいのにと思ってました。だってまさかそこからずーっとずーっと、独り語りが続くとは。しかもそこから目が離せないほど鬼気迫るとは!!
励まされると死にたくなった。
幸せな母子を妬んだ。
何故自分だけ。みんな自分と同じ目に会えばいいのにと呪った。
「母親から子どもを取り上げると、ヒトでなくなってしまうのかもしれません」
怖い、怖いよ。
でも、寸でのところで我に帰った。これでは憎い殺人者と同じ闇に落ちてしまう!
だから元少年Aに会いにいきます
という結論までは、聞いている側からは飛躍があるので次男一家は戸惑うわけですが、こういうのは本人にとって理屈が合えばそれが答えだから。事件に触れない生活でしか今までは生きてこられなかった。でも事件に向き合う為には次男宅は出て行って長男と住む。違う立場をとった息子が2人居て良かったねと言ってあげるしかないのかしら。
そしてすべてが終わったら、この『被害者家族』は一つに戻れるのかもしれません。
じゃあ『加害者家族』の方はというと。
出生の秘密で砕け散ったかと思いきや、父も変わって母も秘密がなくなって妹も他人面から一歩歩み寄って。意外に再生への道があるように見えました。ただ1人、戸惑う双葉を残して。
家族の前でも泣けず、『被害者家族』洋貴の励ましでやっと涙を流せるけなげさがもう可哀想で。彼女こそ、家を出たらいいのに。誰も自分を知らない街で化粧して自由に生きたらいいのに。
急接近してくる東京の『被害者家族」さん(倉科カナ)はきれいな白いサンダルを揃え、双葉は小汚いズックを雑に脱ぎ捨てる 。
そっとそのズックをそろえる洋貴が優しくて、いい場面でした。
しかも双葉が『加害者家族』なことをつきつけてくる東京女なんか!!あちらはきっと洋貴に親近感を抱いているんだろうけど、違うから!
さて、スコップを荷台に女を連れ出した元少年Aは。
なーんだ、脅しをかけただけで終わりましたよ。
「夜のところに置いていくから」
詩人じゃん!
そして祖母病室で再会する双葉と兄。
いやこれは夢だよね?
次回も目が離せません!