「加納君、お久しぶりです」
ああ、言っちゃった、言っちゃったよ局長!!

 これがカシ太郎なら、平然とシラを切り通しただろうし弟子もそんな先生だと呼ばれる前から思っているよね。
 これが観柳斎なら、「この男です!」と言われてまで必死でウソついてますます男を下げるんだろうし。
なのに我らが局長は、相手の名を呼んでしまう人なんですよ。
今の立場との板挟みで、目の泳いでいる昔の部下に『もういいんだよ』と挨拶をしてしまうんですよ。

 分け隔てなく人と接してきた、バカ正直に描かれてきた今までの場面全てが、この近藤のためにあったかと思ってしまいました。
 だって全然驚かなかったもん。命がかかった首改めだというのにね。ああ、近藤だなぁと。

 それをいったら捨助も!
 獅子カツラの古田新太が見聞にきていたあのタイミングで、「かっちゃ?ん」と捨助が現れたとき、NHK観てた人はみんな『来るなー』と心の中で絶叫しましたよ!
 なんか言うに決まってる。
 登場以来ずっとそういう人だったじゃないですか。今回に限ってお利口だったけど(^^;;;)

 時刻表や小道具や台詞の端々みたいな断片でない、こういうのも伏線というのでしょうか。それともキャラが立っているというだけのことなのでしょうか。

 切腹か斬首か。
現代人の私にとっては、痛いコワイとほぼ同列なこの2つですが。武士近藤勇なら間違いなく切腹の方が好ましいわけですよね。
 なのに斬首を覚悟での挨拶が出来るなんて。

「いつ死ぬんだ?」と沖田に訊く斉藤も、やはり死と近いところで生きてきた人なわけで。

 遠くて近くてやっぱり遠かった江戸との毎週のお付き合いも、あと一回です。