10年引きこもってた息子雅夫(松山ケンイチ)が、父一夫(武田鉄矢)の葬式では立派に喪主を務めました!って、そんな上手くいくなら世話ないです。でも視聴者の、同じ境遇の親御さんの不安は多少減らせて、同じ境遇のお子さんには多少の希望が見えてくる、そこが物語の良いところなのかもしれません……。
というわけで「おくりびと」的なうるわしいタイトルにしたところで、主題は身も蓋もなく引きこもりです。
ただし大学は(希望校でなかったにしろ)きちんと卒業し、就業も(正社員になれなかったにしろ)して30才までは頑張って店長にもなったのに、ブラックで心を病んで以後引きこもったそうで、知恵も経験もプライドもあるいい大人。知的にも精神にも障害がなければ行政からの補助も望めない。学校にいけないまま大人になって今に至るのとはまた違いそうです。
同じ家に住みながら、観て観ないふりを続けていた父一夫。家を出た兄妹には、雅夫は『海外で働いている』と言いつくろっていましたよ。しかし余命宣告を受け、遅まきながら向き合うことにしたのでしたが……。
既に何度か衝突済みで、正面からは話にならない父子の間に入るのは姪っ子です。雅夫がコンビニタイムの間に部屋に忍び込みPCをチェック!
自助団体や、資格試験を調べている履歴。そうそう現代は部屋に居てもゲーム以外のことも出来るんですってば(さすがNHK、健全w)ちゃーんと録画を仕掛けていった雅夫にバレて激怒されますけどね。抜かりなくSNSアカウントも調べた姪っ子ちゃん、一夫に使い方を指南しました……。
@カチナシオ のハンドルで不満を書き散らす息子に、@パンク先生 として父が接触、説教する様になるのです……。うわー、なりすまし最悪orz
息子の本心を、のぞき見るだけならアリだったかもしれません。実際、すべて親のせいで上手くいかないと思っていることすら知らずにいたんでしょう?
さすがに40才にもなるのに『親のせい』って、無理あると思って観ていましたが、雅夫視点の回想ではまあ、人生の節目節目に必ず罵詈雑言orz 優秀な兄と比べてクズだ甘えだ出来損ないだと、当時教師だった人がよくもまあしちゃイケナイ見本をこれだけ並べるようなことになったのか(^^;;;;;;;) 果ては、病気の母の介護で退職したんじゃないですかー! 息子が辞めたことに文句を言う前に、正規雇用の自分が時短なり休暇なり取って支えるつもりがカケラでもあったのか、と。
@カチナシオの趣味に合わせたブルーハーツ履修も、今更です。KingGnu的な近々の曲じゃあるまいし、ブルーハーツを一緒に聞いてもいないとはいつからの断絶。 だいたい、部屋に侵入された直後から新規アカウントに連日絡まれたら、もう秒でバレますよね。ほらバレた(^^;;;;;)
俺を馬鹿にしてる、あの時もこの時も、とやっとぶちまけられた雅夫に向かってテンプレの「悪気はなかった」「発憤させようとして」を繰り返す一夫。だったら雅夫だって今悪気はないし、お前の引きこもり対応の評価を教えてやってるんだから。25年前の雅夫が黙って言われるがままだった様に黙って聞いておけー!
しかし哀しいかな病気の老人。興奮が障って倒れた一夫はそのまま帰らぬ人に。雅夫の不満大爆発を受け止めたことが、親として最期の勤めになってしまいました。自分のせいで、と落ち着いたら苦しむこともあるかもしれないけれど、言えなかった後悔はすくなくともせずにすみます。冒頭に書いた様に立派に人前で挨拶をして喪主も務めて、引きこもりからの脱却を垣間見せての一件落着です。多分。
途中、一夫が訪ねる自助グループは実在のもの。参加者も実際のこもりびとの方々だったそうで、ドラマと合わせて取材番組も作成されているとか。苦悩する人々の存在を啓蒙、アピールする良い番組でした