いやあ楽しい。なんとミュージカル部分もw

 引越しって、単身でしても面倒なのに、あの規模のお城が丸っと移動するなら一大事って誰でも分かるじゃないですか。そこをうまくエンタメにしてくれていました。

 姫路藩に降ってわいた、国替えのお沙汰。しかも減封。藩主松平直矩(及川光博)が、江戸でやらかしたせい……かどうかはさておき、2ヶ月後には城の中身も上下の藩士と家族も連れ、日田(大分)へ行かなくては。藩の財政は逼迫中なのに金がかかる事業です。しかも、失敗したら切腹ものという、誰もが避けたい『引越し奉行』に、なんと書庫番ひきこもりの春之介(星野源)が選ばれてしまった……!
本の虫らしく武芸書の知恵を活かしたり、亡き前任引越し奉行の娘於蘭(高畑充希)や、幼馴染の源右衛門(高橋一生)勘定頭中西(濱田岳)に助けられつつ、命を狙われたりしつつ、日田を目指します!

 前任引越し奉行の覚書に曰く、まずは歌w エロのどかな引越し唄(野村萬斎監修!)で体を鍛え結束を固め、労働の苦労を和らげる、と。なるほどです。
 そして断捨離!「半分捨てろ」とは酷なw お偉いさん宅にもチームで押しかけて捨てる!売る!それでも足りない人足を……雇うのは最小限に、変装してでも侍自ら運んで欲しい、と頭を下げる春之介。侍の沽券が大事なのですねえ……。なのに、そのプライド高い侍に更に、帰農案をもちかけるとは!
 独り者を中心に、農民になって姫路に残って欲しい。いつか石高が戻ったら、絶対に呼び寄せる…! いつかっていつだよ!って怒るのも当然ですが、春乃介の真摯な説得を、最後には皆受け入れてくれるのでした。商人(岡山天音)からの借金も、藩にでなく春之介に貸す、と言わしめる信頼度です。そもそも於蘭も、春之介だったから父の引越し覚書を貸す気持ちになったのですし……意外だった抜擢人事、大成功なのでした。

 と、引越し準備を進めつつ於蘭への恋心も育む春之介。初心で可愛いぞ(><)
 その裏で、次席家老藤原修蔵(西村まさ彦)は何やら手引きをしていて……引越し行列に斬りかかるクセ者たち!しかし、ほぼ侍が運んでますからね!応戦されて、こんなはずじゃ~と狼狽える様子、笑えるw 更には脳筋源右衛門の見せ場で大立ち回り! 正直、高橋一生なら春之介の役も演れたかというマッチョ度不足ですが。大槍担いでニッコニコの立ち回りは見ごたえありました!

 そして一行は無事に日田に……ついてからも、また国替え更に国替え。本当に『終わった』と言えるのは……、節約のため姫路に置き去りにせざるを得なかった仲間を、また侍として呼べる日。ただのリストラじゃない、藩ごと丸っと大家族のような心配りに、笑って泣ける物語なのでした。

 劇場の年齢層高かったせいか、スマホの光漏れなど皆無。時代劇ギャグで笑えるいいお客さんでした(^^) でもトイレ離席は多すぎw そして戻ってくるw あと10分だったら後ろで立って見てようよorz