松潤が主人公でアイヌ役かと思いきや、蝦夷と呼ばれた当時の北海道を歩き、膨大な記録を残した松浦武四郎の役でしたよ。

 幕末、露西亜から蝦夷を守るべく調査が必要と信じた松浦武四郎(松本潤)は、商人一行の手代に扮してまで関所を超え、歩数から測量して地図を作り、風景を描き、アイヌ語の地名を書き留めてまわりました。途中、アイヌ差別に触れるも流されず、誠実に接する武四郎は案内人ウテルク(木村彰吾)の信頼を得ることに。怪我をしたウテルクを、親族が住むコタン(アイヌ集落)に連れて行った武四郎は、女ばかり多い不自然に気づきます。
男は人足に連れて行かれ戻ってこない。女は手篭めにされる、と恨みを語るウテルクの妹リセ(深田恭子)も武四郎とは心を通わせていくのですが。永遠にはコタンに住めない武四郎と、生まれた地を離れないリセと。結ばれることのないふたり……。

 そして江戸に戻った武四郎は調査の詳細を出版します。
幕府にも認められ、今度は調査団を率いる役人として蝦夷地を再訪。その間にもアイヌは殺され続け、再会したリセは武四郎を、和人を罵倒するのですが、結局は武四郎を守って矢に倒れ
「ニシパ(大切な人)」

と呼びながら、彼の腕の中で絶命するのでした(涙)
 武四郎を狙ったのは松前藩。
商人と組んでアイヌを搾取している、と書物で公然と糾弾されては面目が立たず。家老佐島勘解由(西村まさ彦)の命令で、江戸で蝦夷でと命を狙われます。新政府になり武四郎が出世すると、殺しは諦めたものの手を回しアイヌを守る法律制定は無視され続けます。大久保利通(江口洋介)……始めはとても話のわかるやつだったのにorz
おかげで、せっかく名付けた「北加伊道」に戻れず職を辞しますが、江戸で育てあげた市助=リセの息子イチニカが、彼の代わりにアイヌとの架け橋になるべく旅立っていくのでした。

 現地ロケでみせる自然は雄大で圧巻。一方でアイヌについては、食い足りませんでしたねえ。言葉の違いだけでなく考え方がすれ違うディスコミュニケーションは描かれていたものの、衣装や踊りの付け焼刃感ぬぐえず。差別の悲劇も、2時間にも満たないドラマでは消化不良でした。せっかくなのだからもっと長いシリーズで見せて欲しいですよね(「ゴールデンカムイ」ばりにとまでいかずとも……土地の生き物との関わりを、信仰を、豊かな食生活を見せて欲しかったです)
そんな中でも、いつもと違う化粧で別人のようでも、深キョンは綺麗でしたわ……(本当は口の周りに、既婚者の黒い刺青があるはずなのかな)
アイヌの血を引くという宇梶剛士も、リセの義父で登場でした。