リアル蝉パジャマ、私は好きだなあ。
平凡な日常に投げ込まれる突飛。どの場面からでも、それまでの話を知らなくても、見ていると引き込まれるようで一人でTVつけたのにいつの間にか家族で並んで観ていたりしますが。さて『何のドラマなの?』と聞かれると返答に詰まります。
偽札づくりも誘拐、監禁も空き巣も横行してるけど、犯罪ドラマでもなく。持本さん(阿部サダヲ)と彦星くん(清水尋也)は余命いくばくもなく、ハリカには家がなく、青羽さん(小林聡美)には幽霊が見える。いろいろ深刻なのに、時にコメディ。
なにしろ3話の誘拐は、ハリカを亜乃音の娘と思い込んだ青羽と、家を出た娘、玲(江口のりこ)がさらわれたと思ってる亜乃音さんのやりとりが
「玲のことで……」
「は?ああ、例の件です!」
まるでアンジャッシュのコメディw
5話の『来客の手前、亜乃音の妹夫婦になりきろう!』と奮闘する持本さんと青羽さんも、芸達者が過ぎて反則でした(^^;;;) それを嘘と知りつつ相手してくれる客(火野正平)も優しい。こんなに優しい世界なのに、なぜ亜乃音さんが育てた玲さんは家を出て、青羽さんの息子はクズなんでしょう。ハリカは家族に捨てられたのでしょう。
思い通りに育つのは、生まれなかった子供だけだなんて切ないです。
みんな偽札がきっかけで知り合って、5話の最後では中世古(瑛太)が堂々と偽札作りの勧誘。やはり何の話かと言われたら『偽札の話』なんでしょうか。
でも4話なんて延々青羽さんの半生でしたよ。願いはたいがい叶わないと諦め続けた10代20代、幽霊と共に婚家を出て、息子(クズだけど)を迎えに行くためにお金が欲しい青羽さん。ハリカも彦星くんのためにお金が欲しい。そう、みんな偽札じゃなくてお金が欲しいんですよね。では「お金の話」なのかな。
そんな中、亜乃音さんだけは偽札を焼き、赤の他人ハリカのためにポンと大金(本物)を手放し、それが消えても動じないとは一体。すると『愛』かな。ドラマ「anone」は亜乃音さんに『愛』を教わる話なのかな。
持本さんも、青羽さんが好きになったり、生きた証を遺そうとし始めたり。金から気持ちが逸れてきた様でもあり……さて。
青羽さんの家からサクッと亜乃音さんの一千万円盗んだ奴って、逃げおおせちゃうんでしょうか。せめて報いを受けて欲しいです! そして中世古は、玲に偽札のために近づいたのか? だったらこっちも痛い目にあいますように。
火野正平
人間、自分の口の味はしないものです。てことは『キスしても成分がわからない女』って口中雑菌構成が自分と全く一緒、つまり幼児期に密着して育った血縁てことじゃないのかと。
てなわけで、主人公朝永蘭丸(向井理)は口に入ったもの成分がすべて即分かる、タイトル通り<神の舌を持つ男>+伝説の三助へいすけ(火野正平)の孫息子。 女性湯治客に湯をかけ背を流し肩を揉む……と、陶酔のうえ悶絶というエロ狙ったんだかなんだかな設定は盛り込みすぎじゃないですかねえ。
ともあれ、遅い初恋相手の芸者を追って、温泉場を巡る旅をしている蘭丸。行く先々で事件に巻き込まれ、ペロペロと成分を当てながら事件を解いていくのでしょう。
今回も口に入った湯しぶきに
ペロ「次亜塩素酸ナトリウムだ」
は水道水ですからまだしも、殺人現場の畳舐めたらシアン化合物の味がするってヒジョーに危険w 落ちてる欠片もパク、毒殺の証拠物件でした。 なんでも口に入れちゃだめーw (そもそも、味と物質名を結ぶ同定ができるとは天性の才だけでなく、それだけの数の試料を舐めたことがあるってこと。大学院で何をしてきたのかw)
ついでに眼鏡で温泉に入るのはフレームが痛みますよね。温泉用眼鏡『湯~名人』かけてくださいw
事件は、温泉のくみ上げポンプ故障をついずるずると1年放置、水道水沸かして温泉の素入れてた宿が、ばれそうになって調査の役人殺しちゃいましたーだそうです。
そんな量の温泉の素、遠くに行って買い出しか通販か、どんだけの量と金額ですか! 浴衣姿の死体を、洋服に着替えさせてボートに乗せて流す手間も謎w 微物指紋絶対残るでしょ、突然死で救急車呼んだ方がマシなレベルです。 てか、被害者が寝て吐いて死んだ布団に次の宿泊客をそのまま寝かせたデリカシーのなさがもう、旅館業止めて欲しいですよねえ、
でもそのツッコミどころ満載な2時間ドラマ風味が、愛しくもあり
(ちなみに他所のホタルを放すのも、反対。交雑すると点滅間隔が狂って繁殖に支障をきたします)
旅の仲間に、木村文乃と佐藤二朗。どっちもうるさいだけで話に役にたっていなさすぎて凄いです。いっそ蘭丸に惚れてるのは宮沢なんとか治(佐藤二朗)で、ツッコミ役が木村文乃だったほうが楽しめたかもしれません。あ、想像したら本当に楽しそうw うさんくさいガチホモ古物商の佐藤二朗w
理想の漫画編集部あるある。毎回楽しく見ています。
私も昔オリジナル漫画の同人誌に参加して、コミケもコミティアも行ったものです。
超上手くて多作で学生時代から有名人だった先輩。ファンも列をなし、絶対プロでそれもメジャー少年誌で活躍すると思ってたのに、エロ青年誌にちょこっと書いた後は……「まんがナイチンゲール」的な学習まんがの人になってた、のって残念だったけど、業界でプロで居続けていると思えば良しなのか。持ち込んだ雑誌、出会った担当さんが違ったら……なんてifがあったんでしょうか。
4話でこころがお断りした老作家も、高齢者向け雑誌から超人気になってましたよね。
さてこころが初めて担当することになった二人 。「ドヘタ伯」と編集部で陰口たたかれながらも、自分の作風には絶対の自信を持っている新人♂(永山絢斗)と、絵が上手いけれど目指すところのない新人♀(高月彩良)同じように問題点を指摘、本人比ベストに仕上げて新人賞に応募させてあげよう!と何度も何度も書き直しを指示するわけですが……。
もう作品が映画のように脳内に流れ、紙に写す技量が問題なだけ(書き分けが出来ず別人が同じに見えたりするので、髪の色や服の柄を変えろと指示など)なので直される度同じものが良くなっていくフリーター♂くんと、エピソードや台詞を直されるので毎回違うものを書き直すうえに、就活期で親と揉めたりする大学4年の♀さんとでは、なんというか必要なフォローが違いすぎて。
絵の上手い彼女の方が、原作付きでチャチャっとデビューしようよ!と声を掛けられたら揺れるの、わかる気がします。
問題は、その声をかけたのが同じバイブス編集部でも「新人潰し」の異名をとる安井さんだってことで、その後もうちあわせは30分きっかり、ネームチラ見ハイOKと7話まで描かせておいて電話一本でオール没orz こころが『失恋した』とまで言うほど気合入れていた新人さんだったのに、このまま潰されてしまうのか(><)
一方の画伯が、この絵で掲載なんて前代未聞!の評を逆手に、前代未聞いいじゃないかと新人賞受賞でデビューが決まっただけに、あのままこころと組んでいたら……と後悔するんだろうなあ。
その『失恋』が誤解され、営業で安井とこころが噂にw それは否定しつつも、いや相手は五百旗頭さんか?とドギマギする営業の小泉さん。もう告白しちゃおうよw
そして断裁、不良在庫の処分に立ち会う社長とこころと小泉さん(「黄昏ボンベイ」が流れてきて辛い!)
自分たちが売り切れなかった本の最後を
「忘れません」
と誓うこころたちと、奇しくも同日、初単行本が店頭に並ぶ感激を同様に
「忘れません」
と胸に刻む新進作家さん。終末と誕生とを並行して描かれて、実に泣かせます。
またこの社長さん、貧しい生い立ちでヤクザになりかけたところを、不思議な出会いと本が、人間にしてくれた、と語る人です(高田純次なのに!) これもまたいい話。
限られた「運」を仕事にこそ活かすために、ゴミを拾い、人を助け、自転車が倒れたら直すと日々善行を積む人。あげく宝くじが当選しても受け取らないw そこまで徹底している成功者、なかなかいるもんじゃありません。善行は真似している五百旗頭さんでも、当選金はもらうんじゃないかな。(更に、編集長はくだらない運試しをずーーーーっとし続けてますよ! 全部外れてるから運たまってる?)
密度濃く、あれもこれも盛り込んできて、しかもきちんとエピソードとして成立している。ほんと突っ込みどころがなさすぎて感想が書きにくいぐらいです「重版出来!」w
初単行本ができるまでも実に興味深かったです。
ページ割を見ながら打ち合わせ、希望通りにレインボー印刷したら「一冊3000円」買えないよ!
表紙絵3案から売りたい年齢層で絞り、採算がとれる計画を編集者が決め、表紙はデザイナーが。そして書店員にだって意見はあって『その発売日なら」とずらっと並べてくれた競合作は「亜人」「白暮のクロニクル」「カイジ」etc暗色が強いシリーズ本です(あれれバイブス世界で出版されてる本じゃなくていいんだw)比較で目立たせようと白ベースに決まった「Kicks」、サッカー漫画でベース白、プレー姿の表紙ときたら「フットボールネーション」を思いうかべましたが、仕上りは随分違いましたね。
さて次回は「新人潰し」安井さんの真意と、新人賞の報せに表情を曇らせたアシスタント長ムロツヨシの動向と。その他またどっさり詰め込んでくれるのでしょう。期待してます!