我が子を抱けぬまま逝った夫と、出産直後の急変から戻らなかった妻。避けられなかった悲しい死と、遺された配偶者と嬰児と。

3話では、不機嫌な妊婦安部(田畑智子)がアオイの何気ない励ましの言葉や、ささいなミスを責めて立てます。萎縮して益々ミスを連発するアオイ(検尿のコップ落とすとか嫌だー)
看護学校の研修で産院を離れ、老人病棟では誰も怒鳴らないとホッとしているとそこに、安部さんの姿が。旦那さんは、盲腸手術後から意識が戻らないまま入院中だったのです。

以来、邪険にされても食らいついていく様になるアオイ(^^;;;)

危篤のご主人に子供を合わせたい、と早すぎる分娩を望む安部さんを説得する由比先生。正常出産までなんとか永らえた旦那さんと赤ちゃんが対面を果たす時、瀕死のはずの旦那さんの目から一筋の涙が溢れるのでした。

4話では、サータアンダギー差入れ妊婦の真知子(マイコ)が出産。ずーっとラブラブしていた旦那(葉山奨之)も立ち会いで無事な出産を喜んで、いたって普通の分娩だったのに。出血は止まらず、意識は低下。いち早く搬送を手配し大学病院に送られ手術になるも……帰らぬ人に。出産ってそういうことがままあるんでしょうね。
夫の大暴れと母体死亡の影響で閑古鳥がなく由比クリニック。訴えると言われても、誰も悪くない。母体死亡は医師だって看護師だって悔しくて、二度と起こさない様にカンファレンスが行われ、由比クリニックでも対応マニュアルが作られるわけですが……だからって奥さんの死は諦めきれるものじゃありませんよね。
外で旦那さんに遭遇するアオイ。美月と命名された赤ちゃんを、一人で育て疲れ果てている旦那さんは、もう訴訟する気力もないそうです。帰宅後、美月ちゃんの泣く声に自殺を思いとどまる……のではなく。ミルクあげてから死のう、となる思考は傍目からは愉快でしたがw ミルクを作ろうとすれば湯沸かしに『冷水で冷ましてね』 布団に一緒に転がれば『添い寝は危険!』 その他家中に『無理しないでね』『泣いていいんだよ』と、亡き妻が残した大量のメッセージが、あまりにタイムリーに目に入る様子はもう半分旦那さんの夢なんじゃないかと思ったり。それとも奥さんは、実家にも頼れずに子育てするだろう未来の自分のためにあらかじめメモを張り巡らせていたんでしょうか。役にたちましたよ、それ。二人で育てているんですね……(涙)

どちらも涙なしには見られないエピソードでした。

そしてアオイの行動が、いいさじ加減に妙。不機嫌な安部さんがいくら怖くたって、萎縮もしすぎなら隠れ方もやりすぎでしょ。なぜ怒るのか、知りたいとは周囲に漏らしますが、いざ旦那さんの事情を知ったら知ったで、距離近すぎですよ(^^;;;;) そして、脳死の夫にも赤ん坊の声は聞こえるのかと問われると、戸惑いながらも

『聞こえません』

と教科書通りのお返事。そ、そこは『きっと聞こえますよ』と言ってあげるところでしょーと視聴者動揺しますが。あまりの嘘のなさに安部さんは苦笑して許してくれるのでした。

真知子さんの夫にも、悪気なくとんでもないものを手渡します。
出産直前、はしゃぎながら産院の壁を塗った日の旦那さんの注意書き&真知子さんのメモ。捨てずにとっておいた気持ちは素敵ですが、乳飲み子を抱えて、妻の死から立ち直ってない人に今見せるもんじゃないと、居合わせたアオイ母(酒井若菜)が顔をしかめますが、アオイは平然とメモを褒めるばかり。そこで泣いて同情するより、結果として旦那さんを救ったかもしれませんが……。

世間的には、大出血にショックを受けて辞めると言い出す看護婦さんや、『自分の子を産むのが怖い』とごちる沙也子先輩(水川あさみ)の方が共感力が高いと評されるのでは。器用に生きられず、世界は謎に満ちているアオイは今日も、瓶に入ったご遺体や、生まれてくる赤ん坊を前に
『命ってなんだろう』
と問いかけ続けるのでした。