イケメンと猫。そして家族の物語。パッと見いい話で主人公に不満はないのですが、ゲスト家庭の信条が斜め上でもやもや。これは原作の重松清さんとの相性問題なのでしょうか。
妻が遺した猫7匹の、もらわれ先を探す家具屋の椎名(西島英俊)
でも引き取りたいという家庭は毎度なにか問題があって主人公も巻き込まれ、そちらは解決しても猫は出戻りに……。
1話は、祖母痴呆症の家。
祖母がとてもとても可愛がっていた亡き愛猫とそっくりの一匹を、祖母の一時帰宅に合わせて連れて帰りたい、という若い女性(蓮佛美沙子) 更には婚約者の身代わりに椎名まで借り出されることになりますが……和やかだった食事会も、お祖母ちゃんの豹変で悲惨なことに。
う、うん。
いくら発端が善意でも嘘は嘘ですよね。違う猫を受け入れただけでもラッキーで、そこで止めておけばよかったのに、じゃあもう一つと嘘を重ねるからorz どうせなら素直に「今ケンカしちゃってて」とでも言っておけば……え、そっちじゃなくて? 遠距離に赴任した彼(鈴之助)に向けて素直になって
「今すぐ来て!」
と叫びますか(^^;;;;) そして久しぶりの電話の開口一番がそれでも
「それを待ってた」
と平然と彼も応えますか、しかも出先の仕事中で(^^;;;) ろ、ろまんちっくなのかなこれ。ドン引きなんですけど。まあ結果オーライなようでお幸せにどうぞ。
2話は、父リストラの家。
本当は猫を飼うどころか、一戸建てを売って引っ越す算段なのに
『子供達が欲しがってた』
と謎の頑張りを見せる父親(マギー) 当時なら喜んだでしょうねえ、でも姉はもう反抗期の中学生ですから……見向きもしないどころか、お世話諸注意に逆ギレです。猫の引っ越しには気を使うのに、娘の私がこの家に居たい気持ちはどうでもいいのか、と。
え、中学生にもなって、しかも家族の経済悪化中にそんなわがまま言いますか。しかも買い手さんの内見時に
「この家を飼う人は不幸になれ」
と壁に書いてしまう暴挙。この文言はないわ。売れなかったらもっとお金に困るの、もうわかる年齢でしょうに。
その後母が叱りつけ、父がフォローして仲直りといい話風に進みますが、きっかけは猫の安心毛布を捨ててきたから。弱い生き物を虐めるな、それは正論ですが、そこじゃないでしょ感。他にも怒らなきゃダメなことありますよね。猫を介さないと子供を叱れないって一体。
と、よその揉め事に巻き込まれては、亡き妻(酒井美紀)との生活を振り返って悔やむ主人公。今でこそ立派に世話をしていますが、当時は7匹もいる猫それぞれの名前も知らず、仕事ばかりの自分へのあてつけに飼っていると思い込んでいたんだとか。回想でいつも笑顔の奥さんだったのに、嫌われてる、離婚したいんだろうと自棄だったとは、なんて不幸な誤解。
その亡き妻が大事にしていたバラの鉢を世話する椎名に、ちょっかいを出してはトゲで痛い目にあう幼馴染の獣医女史(吉瀬美智子)……女史ったら口では否定しつつ、椎名が好きなようですが、こんな典型的な死に別れ妻がいては勝ち目がなさそうですよ。
でも毎回猫は出戻ってくるし、このまま一匹も嫁には行かず、逆に女史が転がり込んでもう一人増えましたという落ちにでもなるのでしょうか。