現在のこの世を作ったともいえる3人の明治男をとりあげてのオムニバスドラマ。
1、2話の高橋是清@オダジョーは、正直ピンとこず(アメリカで奴隷にされて、どう逃げてきたのかとか、描かれないところの方が気になってw)脱落でした。
でも3、4話はあの宝塚歌劇団を作った小林一三を阿部サダヲというので見てみたら、まあ面白い。早々に両親を亡くすも、遺産で暮らしていけるいい育ちのまま銀行員に。のんびりぼんくらな仕事っぷりでダメ社員かと思いきや、庶民の夢を形にする仕事には才があったんですねえ。

箕面有馬方面への電車計画を、畳む仕事を任されたはずが
「こんなところに住みたいねえ」
という愛妻(瀧本美織)の一言から、郊外型住宅分譲を考案。庶民にそれが手に届くように月賦販売(=住宅ローン!)を思いつき、更には売り込みパンフレットの美文を、開通式での唱歌の作詞もと、なんでもやっちゃうアイディアマンです! 今は当たり前のものあれこれが、この人の頭脳から生まれたんですねえ。金もうけだけでは出てこない夢を形にする発想に加え、文楽だ芝居だと遊んでいた教養が見事に生きていますw
そして沿線を盛り上げるためにプール……は失敗wしたものの、宝塚歌劇団を作り、あれしてこれして、それでも本社が傾いて窮した経営危機にはついに、自らが買い上げて名実ともに社長になる大博打! そして路線を延ばし『京阪よりも早いぞ』という意も込めて「阪急」と命名って……天才ですよね。

後を継いだはずの息子の逆縁など悲しい出来事も描きつつ、最期はヅカガールに囲まれて、朗らかに大階段を登って去っていく大往生。借金ダルマに追いかけられる妄想など、随所に舞台劇じみた演出を盛り込んつつも、楽しく見せてくれました。
終盤の老けメイクも見事でしたよ。