ただ死にたいなら家で死ねばいい。

なのに樹海に来る人は、迷って声をかけて欲しがっているはず。


……と、観光ルートを外れ彷徨う人を追っては取材し、TV番組を作るフリーランスのディレクター阿部(堤下敦)と竹内(板倉俊之)。富士山のふもとに広がる樹海を、歩き回り死体をみつけ、遺書や大金をみつけ、死にたい人をみつけ、時には罵られ、時には感謝され。彼らの人生だって決して順風満帆ではないのに、なぜ樹海に通い取材を続け、人を救い続けるのか。

前半にはひたすら取材の様子が綴られますが、移り変わる季節とともに親の介護や障害児の世話、生活費の工面といった家族の問題が露呈し、彼らの迷いも描かれます。


特に竹内は、3人も子供が居るのに何週間も泊まり込みで仕事って妻に育児丸投げ(><)

「大切な時にはいつもいない」

なんて妻(遠藤久美子)に揶揄される様に、その昔帰宅したらガスの元栓が開いていて一家心中直前だったことまであって、仕事優先の日々は逃げかもしれないのですが……。


自殺者探しが、ただの取材から次第に人助けに変わって行くのとシンクロする様に、竹内の自閉症の長男は樹海の絵を描く様になり、家庭に笑顔が増えていきます。いかにも恐ろしいイメージの樹海も実は、恵みのわき水もあるただの森なんですね。終演には、心に温かいものが満ちてきていました。

助けようとした相手(きたろう)に騙されても、相手を赦す竹内の
「人を騙してでも生きようとしている。生きる事は真実だよ」
という言葉が耳に残っています。


ゆうばり国際ファンタスティック映画祭にてスカパー!映画チャンネル賞受賞。


と、ここまで頑張って普通の感想を書いてみましたが、そもそもインパルスのファンで主演:インパルスだからこの映画を観た私。ファンの欲目を引いたらどんなものなのか、友人に勧めてもいいものなのか、さっぱり判断できませんがどうなんでしょう。

しかも自閉症の子供はめちゃ身近で(トイレ流しまくりとか、あるあるw 黙って4万円分も流させてあげる親はそういないけどw)、その子が打ち込めるものをみつけられたことも、それが父親と共有できる体験だったことも、もう我がことの様に嬉しいのです。自閉症に特徴的なおうむ返しの会話にも、苦笑でなく可愛いなあ!と夫婦で顔を見合わせて、吹き出している様子が嬉しくてたまらないのです。
家族の場面を撮影中に板倉さんが、結婚したくなったというのも納得の家族っぷりw 

(自閉症に「回復」という言葉を使っている部分はひっかかりますが、周囲も本人も困る問題行動が減って行くことそのものを指していると思っておきます)


更には、一緒に居る時はそっけないくせに

「お前でなきゃダメだ」

「ふたりで一人前だな」

と言わせる阿部と竹内の絆も、インパルス2人のファンとしてはもう嬉しくて、よくぞ共にキャスティングしてくれましたと感激ですよ。

そりゃ主演のふたりが瑛太と小栗旬だったらもっと話題にもなるし演技も安心できるだろうけど、この映画にはあのふたりで良かったですよねえ?
烏丸せつ子の胸元を覗き込んだり、なくしたテープを取り戻す阿部に(←特にこれは、それどころじゃないだろうという深刻な場面なだけに)クスッと笑えたのも本職で鍛えたお笑い力かと。あ、疾走する佐川男子な竹内もw


竹内が命を助けた高校生が、ラストシーンで画廊にいたのには2度目に気がつきました。また会ってくれたんですね、愛想悪いけどいい奴なんだわ竹内(そんなところにも、板倉俊之本人を重ねてファンとしては以下略)


密かな萌えポイントは竹内の結婚指輪w ぶかぶかで第2関節にひっかかってるのw

子どもたちに出迎えられての笑顔もいいんですよーん(堤下ファンは、もっと直接的なエロエロをお楽しみくださーい)


ちなみに見終わってパンフレットとCDを買っていたら、常連らしき紳士が売り場のお姉さんと雑談開始。

『お笑い芸人らしいのに、ちっともふざけてなくて、いい演技だったなあ』

ほ、本当ですかおじさま!台詞まわしが多少アレかとファンははらはらしてましたがオッケーでしたか? そして、そんなふたりの本業の『ふざけている時』も是非観ていただきたいのですが!!

(追記:ところで終盤、樹海を訪ねる竹内親子の白装束。私は巡礼かなと思ってみていました。それとも浄化された存在になったとかw あれだけ脇の配役にこだわり、劇中のアウトサイダーアートにこだわって発注に満足できずご自分で描きあげる監督の作品で、なんとなく白着せてみましたってことはない筈)

最後に、ビニールテープの道しるべはお役立ちで膝をポンでした。リュックに下げて自動的にくるくる巻き出せる仕掛けがナイス。しかし途中で切れたのが分かったとき、どうして2人とも引っ張るんでしょうw そのままにして、切れたところまで戻るのが先でしょう、だから道に迷うんじゃないですかー。