救われた。

 初回からずっと面白いんですよね。まさかのメロンパン販売車で街を流す機動捜査隊、かけっこ勝負、制服でレジ打ちしつつコンビニ強盗警戒。そんなクスッと笑える要素を随所に入れつつも虐待や共依存、学生の薬物に性犯罪、女性差別、家出、賭博、搾取、外国人労働者と、重苦しい深刻なテーマに果敢に挑戦し続ける良ドラマ。その事件事件の合間にも、チラチラと顔を見せる隊員たちの生活と過去の影。
面白すぎて、逆に見守るだけになるかなーと思っていたのですが、志摩の相棒殺しがついに伊吹の耳に入って迎えた6話。いやもう、この回のためにいままでの話が在ったのかと膝を叩いて立ち上がるほどの(比喩ですw)衝撃でしたので駄文をぽちぽちと。

 まずはまさかの
「よ、相棒殺し☆」!!!
いくら野生のバカ伊吹(綾野剛)でも、本人にこんなことorz
さすがに本当に志摩(星野源)の相棒が死んでいることも、そもそも当時捜査一課だったことすら知らなかった情弱伊吹くんですよ。とはいえ、知った以上は周囲が止めてもぐいぐいと教えろと迫ります。
相棒だから。
その聞き方に工夫が無い、とつっぱねる志摩w またぞろ掛け合い漫才の結果
出来るもんならな
と、伊吹の調査を容認しつつ、志摩は知っている筈です。志摩自身ですらもう信じられない自分を、伊吹は疑いもせずに助けようと駆けつけることを。

 さて九重(岡田健史)も巻き込んだ調査で分かったことは、6年前香坂刑事(村上虹郎)が自宅マンション前路上で死亡。第1発見者は志摩。駆けつけた機捜は陣馬(橋本じゅん)と桔梗(麻生久美子) 脱げた靴の片方と香坂は呑まない酒のボトルが屋上に。自殺か他殺か事故か。
軽率な輩(酒向芳)は前日の言い争いだけで『殺してもおかしくない』と証言、昵懇の機捜と証拠隠滅したと志摩を疑うのですが。実際は、対等の言い争いでなく、香坂は叱られていたのでしたよ。証拠の捏造! 家宅捜索で毒物がみつかるならきっかけが嘘でも、と熱弁を振るっているところへの真犯人逮捕の報。それも別人のorz
 犯人を装う女(北浦愛)に単独で接触し、からかわれ、女の犯行と信じた。可哀想ではありますが、動機が正義ならねつ造が許されるわけじゃなし。懲戒免職だってあり得る中、志摩は「進退は自分で決めろ」と言い、香坂は辞表を書いた。それだけ。それだけだったんですよ。
ただ翌朝の香坂死亡で、辞表もねつ造も公表されることはなくなり、当然前日の争いの真意も知られることなく『相棒殺し』の噂だけが広がってしまいました。志摩は志摩で、それだけ 以上が出来なかった自分を悔い、慰めていれば、呼ばれた屋上に行っていれば、と責め続け、悪評を受け入れてしまった……。そんな悲しい自己否定にはもう、泣くしかないじゃないですか。 
 悔やみ続けた6年。
なのに2話、逃亡殺人犯(松下洸平)に伊吹がかけた言葉「殺したら取り返しがつかない」を、どんな想いで聞いたのか。そして3話、伊吹をけなす九重(岡田健史)にどんな思いで、あいつは自分が出来ないことをする、と告げたのか。4話「撃ってみろ」とヤクザの銃口を頭に押しつけて煽るほどの自暴自棄とは……。なのに今、伊吹がよこすくだらない電話に、非番でも必ず応えるのは相棒のSOSを逃さないため。 辛い。

 ところがまだ、先があったんです!ギャフン!
現場の屋上から見えるマンションに、伊吹は垂れ幕をみつけます。事故当日の深夜、侵入事件の通報者は誰だったのか。警察に残る通報の記録。志摩を待つ屋上から、香坂が通報。更に駆けつけようとして脚を滑らせての、転落だったんですね。絶望の末の自殺なんかじゃなかった、彼は最期まで刑事だったんですよ……!
垂れ幕の主は妊婦さん。結婚&引っ越しが決まったから、と命の恩人を探すことにしたそうで、野生のバカがこのタイミングで知りたがったからこそ起きたミラクル!!!生命線の長い、殺しても死なないいい相棒が来ましたね(しかし事件後も住み続けるとは、鬼メンタル^^;;;;)

 ……これだけで終われたら幸せなのに。
母子家庭桔梗(麻生久美子)家にかくまわれている羽野麦、もといハムちゃん(黒川智花) 水道工事ひとつにも非番の志摩が立ち会うほど、付け狙うヤクザを警戒していたはずなのに……。まんまと盗聴器を取り付けられてましたよ!ああ、香坂のことで気がそれていた間に。 ハムちゃんが危ない(><) そして無事解決しても、住み込みベビーシッターがいなくなったら桔梗家は立ちゆくのかもちょっと心配(^^;;;;) 志摩はパパになれるのかw
 そうそう、4機捜に伊吹が来たのは『突然一人増えて』バディが足りなくなったから。 それって九重に何が起きたのか。 伊吹は伊吹で、酷いやらかしで僻地に飛ばされていたはず。そして5話の元警察恩師(小日向文世)が伊吹に言った「人を信じすぎる」の真意は。 各員それぞれ人生がありますよ……。

 3話でちらっと出た菅田将暉、来週やっと再登場。薬物事件とどうつながるの?? 2話も松下洸平と、かくまった夫婦との交流は優しく美しくも、やはりいびつで恐ろしく。3話の部活ができない子供達は不憫で。4話の逃げる女(ミムラ:美村理恵)もめちゃ良くて、空港バスが郵便車に追い抜かれていくとき震えたし、5話の留学生マイちゃん(フォンチー)も熱演。やっぱり一話ずつ書けたら良かったのですが、一週間はあまりに早く過ぎるのです。
 同脚本家のドラマ「アンナチュラル」世界とのつながりや、主題歌「感電」の良さも言わずもがな……。